2025.02.25|ニューズレター

バックナンバー 元ダルク後援会代表 竹谷 基

       「メリークリスマス」 

                      元ダルク後援会代表 竹谷 基

 毎年クリスマス、正月が近づくと何歳になってもワクワク、ルンルンとなります。何故でしょうか。多分メリークリスマス、ハッピーニューイヤーの挨拶の如し、人を喜ばせ、楽しませるからではないでしょうか。やなせたかしさんは「人間は何のために生まれたのか、それは人を喜ばせるためだ。」と言い、世界一弱いヒーローアンパンマンを子どもたちにプレゼントしたのです。さて、フーテンの寅さんは受験勉強に悩む甥っ子の光男から「人は何のために生きる」と問われたとき「そうだな…、生きていて良かったなあと思うことがあるだろう。そのためじゃないか。」と答えました。それは、寅さんが後先顧みず遺児の母親にその子供を合わせたいとの義憤に駆られ、困難な旅をその子と飛び出して行ったのです。しかし、途中その子が急病で倒れたのを旅先で出会った人たちの協力で一晩懸命に介抱して一命をとりとめたこと、ついには母親と再会させたことを思い出したのでしょう。

さて、クリスマスの主役はご存知サンタクロースです。ファンタジーではありますが、世界の恵まれない子どもたちに「あなたは愛されている」と喜びを届けるため孤軍奮闘努力している姿に子どもはもとより大人たちの心を温め喜ばせています。そして、いつか自分もサンタクロースになるんだと夢と希望を抱きます。

ところでクリスマスの主人公はもう一人います。キリスト教のイエス・キリストです。もちろん、聖書のイエス・キリスト誕生物語は神学的ファンタジーですが、ある人たちには喜びと勇気、希望を与え続けています。それはアンパンマンと同じ世界で一番弱いヒーロー「嬰児」の物語です。私はそのクリスマスファンタジーから空想を膨らませました。しばらくお付き合いください。ユダの荒れ地寒風吹きすさぶベトレヘム郊外の粗末な家畜小屋へ憔悴しきった人々が一夜の宿を求めて我先にと続々集まって来ています。彼・彼女たちにはイエスの両親のように非常な国家権力から納税のための住民登録に否応なく故郷までの旅を強制させられた人々がいます。街には宿する場も少ないため追い出され疲れ切った旅人たちです。また、社会から受け入れられない外国からの出稼ぎ労働者、孤児、寡婦、病人やならず者、犯罪者たちが人目を忍んでやって来ています。彼らはその不条理の現実を前に一様に暗く重く押し黙り、狭い小屋にひしめき合っていました。そこへ何と厄介なことに産気づいたマリアを連れてヨゼフが血相を変えて駆け込んで来たのです。彼は叫びました「大変だ、赤ん坊が生まれる。助けてくれー」と。ヨゼフの叫びにうつらうつらしていた小屋の人たちは俄然目が開き「こりゃ大変だ、何とかしなくちゃ。」と立ち上がり、マリアのため寝床をつくる人、毛布や産着を探す人、水を汲み、湯沸かしの薪を拾い集め、なけなしのパンを集めまわる人たちと連鎖反応のように皆が動き出したのです。もちろん、寝たふりをして何もしない人もいます。けれど、先ほどの重苦しい雰囲気はがらりと熱気に包まれ、みなの顔は輝いているのです。その最中、ついに、赤子は産声を上げたのです。途端に小屋は歓声に包まれました。

肩をたたき合い小躍りする人、涙を流し抱き合って喜ぶ人たち、踊りの輪も広がり眠った振りをしていた人も中に入りました。消えて行こうとする母子の命を救いたい、何とかしたいとの人々の思いが母子ともに無事の出産を祝えることとなったのです。小屋の人たちは愛されません、大切にされません、虫けらのように命を踏みにじられて来た人たちでした。その彼・彼女たちがイエスの誕生に「生きていて良かった」と歓喜したのです。一晩中寝ずに羊の番をした羊飼いたちも遅れて到着しその奇跡を目の当たりにしました。天使たちの告げた「あなたがたの救い主が生まれた」言葉が本当だったと喜び「生きていて良かった」と小屋の人たちと分かち合ったのでした。嬰児イエスは無力そのものです。脆く儚い生命です。それを守り育てるのは周りの人たちの協力によるしかありません。イエスの誕生は人間の本来の姿である「生かし生かされ合う」「喜ばせ合う」ことを呼び起こしたのではないでしょうか。今、戦火にある幼い無力な命のことを思うと、戦争暴力は世界に絶対あってはならない、命に敬意を払い慈しむことこそ人間の生きる道であるとの各国指導者への平和メッセージではないでしょうか。

ダルクは社会から見捨てられた命を甦らせ仲間と共に「生きていてよかった」と喜びの人生へと導く嬰児イエスです。嬰児イエスは両手を広げて薬物依存者を待っているサンタクロースです。来る年にも待ち続けられるよう、どうか、みなさまの暖かいご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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